2015年5月31日日曜日

【書店取扱情報】模索舎にて販売を開始致しました!

大変長らくお待たせしました。

新刊『スピラレ vol.4』ですが、本日より新宿にあります模索舎にて販売を開始致しました!

通信販売も行っている書店さんです。

残部僅少なので、お早めにお買いお求め下さいまし。

税込400円です。

よろしくお願いします!

http://www.mosakusha.com/newitems/2015/05/_vol4_1.html

http://www.mosakusha.com/newitems/

2015年5月1日金曜日

『スピラレ vol.4』について

今年の8月で没後20周年を迎えるドイツの作家、ミヒャエル・エンデが残した言葉。「私はもう第三次世界大戦は始まっていると思うのです。ただ私たちがそれに気づかないだけです。なぜならこの戦争は、従来のように領土を対象とする戦争ではなくて、時間の戦争だからです」。

児童文学やファンタジー作家として知られるエンデは、日本の文化に深く関心を持った「思想家」でもありました。資本主義経済、物質主義の社会に対して警鐘を鳴らした作家の、初期の代表作が『モモ』です。それは、一人の少女が「時間どろぼう」たちに立ち向かう長編童話でした。

スマホのアプリで乗換検索をして目的地までの経路を急ぐような生活に、何の違和感を持たなくなっている私たちは、まるで「時間貯蓄銀行」に自分の時間を預け、忙しく働くことに生きがいを見出した、モモの住む町の住人そのもの! でも、それじゃあ一体どうすればいいのだろう。

批評家の佐々木敦が主宰する講座、「映画美学校批評家養成ギブス」の第二期修了生有志である我々は考えました。「時間」と対峙した「批評」を志す必要があるのではないか。そのためには、各自が日常のシチュエーション、いわば「生活テーマ」に即した批評文を書くしかない、と。

そこで、来週5月4日(月・祝)の文学フリマにて販売を開始する批評誌『スピラレ vol.4』では、「5時から27時までのクリティック」という特集を組みました。



ネーミングの由来はアニエス・ヴァルダの映画『5時から7時までのクレオ』。もっとも、内容が密接にリンクしているというわけではありません(笑)。要するに、「時間」と「生活テーマ」が設定された各自の批評文が、5時から27時までの時系列に掲載されているのです。

前置きが随分と長くなってしまいましたが、ここからは、実際に載っている批評文の紹介をしていきます。さて、巻頭批評である「5:00」の批評文の生活テーマは「旅立ち」。題して「障がい者と旅――ドキュメンタリー映画『ぼくは写真で世界とつながる』(2014)評」です。

発達障害を持つ京都のアマチュアカメラマン、米田裕二(22歳)が初めて母親のもとを離れ、初めて飛行機に乗り、沖縄で過ごした二泊三日を捉えた本作品から、映画の内外で見過ごされてきた障がい者象に光を当てる16,800字。 
・「ぼくは写真で世界とつながる」公式サイト

続いて「9:00」、「10:40」、「13:00」、「14:45」、「16:30」の批評文を一挙紹介。これら5本の生活テーマは「一限」~「五限」、大学の講義開始時間です。そして、内容は全て書評。対象は、我らが二期生の講師のうち直近で発刊された五名の著作です。

一限の書評は、佐々木敦『ニッポンの音楽』(2014)。二限は、四方田犬彦『台湾の歓び』(2015)。三限は、九龍ジョー『メモリースティック』(2015)。四限は、大澤真幸・木村草太『憲法の条件』(2015)。五限は金子遊『辺境のフォークロア』(2015)。

17:00の批評文の生活テーマは「アフターファイブ」。「「カワイイ」は人体に有害か―『おんなのこきらい』」です。音楽映画の祭典「MUSIC LAB」にて準グランプリに輝いた作品を扱っています。 
・おんなのこきらい Onnanoko Kirai 2015 映画「予告編」 

18:30の批評文の生活テーマは「小遊び」。 「AKB48×算命学企画(試行中)」です。 算命学という占術を使ってAKBメンバーを占うという事を試みています。 
・『第6回AKB48選抜総選挙』 第1位~16位 https://youtu.be/WMEccvIJa7A  
・【MV】僕たちは戦わない Short ver. / AKB48[公式] 

21:00の批評文の生活テーマは「2人の時間」。「『聞いていない』―人間関係考察(岩松了と松井周について)―」です。劇作家、岩松了・松井周の作品を扱った批評文です。
・M&Oplaysプロデュース『水の戯れ」公式ページ   
・F/T13 『永い遠足』サンプル 

27:00の批評文の生活テーマは「オナニー」。「いともたやすく行われるえげつない少女の成長ー新海誠『星を追う子ども』についてのごく私的悲嘆ー」 アニメーション作家の新海誠の2011年公開の作品を扱っています。 
・新海誠『星を追う子ども』予告編映像 

??:??の批評文の生活テーマは「トリップ」「『インヒアレント・ヴァイス』極彩色のダークサイド」です。トマス・ピンチョンの小説『LAヴァイス』を原作にポール・トーマス・アンダーソンが映画化した作品についてです。 
・映画『インヒアレント・ヴァイス』予告編 

改めまして、批評家の佐々木敦主宰の講座「映画美学校批評家養成ギブス」第二期修了生有志による、批評誌『スピラレ vol.4』は3日後、5月4日(月・祝)の文フリにて販売を開始いたします。ブース「オ―63」。特集「5時から27時までのクリティック」。お楽しみに!